202610.27
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ASEAN首脳会議 ミャンマー対応、加盟国の関与がカギに

11月16~18日にマニラで

11月16~18日にマニラ首都圏で開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議と関連会議では、ミャンマーへの対応が主要議題の一つとなる。加盟国による二国間の接触が先行するなか、首脳会議は「5つのコンセンサス」を再確認し、各国の関与を共通して支持できる範囲を確認する形になるとみられる。ミャンマー政府は同文書の位置付けに異論を唱えており、両者の隔たりが続いている。

2026年7月12日、バンコクで開かれたASEAN外相とミャンマー外相の非公式会合(Photo: タイ外務省)

人道分野が入り口か

 タイのシーハサック外相は10月23日、Reutersに対し、米国とミャンマー政府による1か月で2度の協議を歓迎すると述べ、首脳会議では今後の対応を詳しく議論する見通しだと語った。同外相は、ミン・アウン・フライン大統領による加盟国訪問を挙げ、ASEANの姿勢に変化があることにも触れた。ただし、全面的な代表権回復が議題になるかどうかは不明だとした。

 ASEANは7月の第59回外相会議でも「5つのコンセンサス」を再確認し、暴力の停止、政治囚の解放、人道支援、関係者間の対話について具体的な措置を求めた。あわせて、進捗を測るベンチマークの整備を進めることでも一致し、その内容は11月の首脳会議に付託される。

 加盟国間で比較的合意を形成しやすい分野は、人道支援である。フィリピン外務省は10月14日、ラザロ外相が率いる支援ミッションを準備中だと説明した。訪問日は未確定で、現地入りにはミャンマー側との調整が必要になる。支援物資を届けることには意義があるが、政治対話や紛争解決の進展とは分けて見る必要がある。

ミャンマー政府も協力に前向き

 ミャンマー外務省は7月23日のプレスステートメントで、同文書を、ASEAN首脳会議の後に議長声明の附属文書として公表された「5項目声明」と位置付けた。同省は、ASEAN憲章が定める主権の尊重と内政不干渉などの基本原則を、加盟国が協議と履行の過程で守るべきだと強調している。また、国家統治評議会(SAC)期に策定した「5項目ロードマップ」はASEANの声明と補完関係にあり、国益と主権を損なわない範囲で協力してきたとしている。

 同省によると、連邦議会は7月9日、同声明がASEANの基本原則から外れ、ミャンマーの現在の政治状況にも合わないとして、政府に見直しと必要な措置を求める緊急動議を採択した。大統領府省サイト掲載の記事によると、動議はカロー選挙区選出のナンダ・フラ・ミン人民院議員が6月26日に提出し、30人の議員が討論に参加した。ティン・マウン・スエ外相は7月12日のバンコクでの非公式外相会合で、政府は議会の決定を尊重し、適切な措置を取る立場にあると説明した。あわせて、ASEANとの関係正常化に向けて可能な限り協力する方針も示したと、同省は発表している。ミャンマー政府にとっては、ASEANの枠組みについて見解を異にしたままでも、個々の加盟国との関係改善から成果を得られる状況にある。

関係正常化には道のり

 各加盟国には、国境管理、貿易、治安、難民・移民への対応など、それぞれ実務上の必要がある。これらを重視した接触が広がれば、ASEANとして参加制限を維持していても、ミャンマー政府の外交的な孤立は和らいでいくとみられる。これは現在の接触拡大から導かれる分析であり、ASEANが関係正常化に転換したことを示すものではない。

 ASEANが共同条件を明確にし、それを各国の外交に反映できるかが問われる。今回の焦点は、接触の増加をASEANが主導できるかというより、先行する二国間関係の変化に共同方針がどこまで追い付けるかにある。首脳会議は、「5つのコンセンサス」を維持し、人道支援と対話の必要性を再確認しながら、各国による関与の拡大を許容する形に落ち着くとみられる。ミン・アウン・フライン大統領の出席や、全面的な代表権回復については、現時点で確認されていない。

 ミャンマー政府にとっては、首脳会議への復帰が実現しなくても、加盟国との接触が続くこと自体が外交上の成果となる。一方、ASEANにとっては、声明をまとめること以上に、その後の行動をそろえられるかが課題となる。共同対応の実効性が伴わなければ、今回の会議は、加盟国間の立場の違いを調整する場にとどまる可能性がある。

(主任研究員 宮野弘之)

【注】「5つのコンセンサス」は日本外務省の呼称。ミャンマー政府は同文書を「5項目声明(Five-Point Statement)」と呼んでいる。